釜中の魚と轍鮒の急

漢字多めの雑記ブログです

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

漢検一級勉強録 その65「菽麦」

菽麦(しゅくばく)を弁(べん)ぜず 物の区別ができない愚か者のたとえ。 「菽」 まめ。豆類の総称。 豆と麦を見分けることは非常に簡単なことなのに、その区別もできない意から。 出典は『春秋左氏伝』。 「菽」の故事成語はもうひとつ、 菽水(しゅくすい)の歓(か…

漢検一級勉強録 その64「褻」

褻(け)にも晴れにも歌一首 一つ覚えで無芸であること。 褻(け)は、ふだん・常日頃・平生 の意味。 「晴れ」と「褻(け)」は対義語の関係です。 「褻」 ①はだぎ。ふだんぎ。 「褻衣(せつい)」 ②けがれる。けがらわしい。 「猥褻」 ③なれる。なれなれしい。 「褻狎(せっこ…

漢検一級勉強録 その63「罕」

罕に(まれに) めったにないさま。ごく珍しいさま。 「罕」 ①とりあみ。鳥をとるあみ。 ②まれに。たまに。 ③はた(旗)。 「旌罕(せいかん)」 この漢字の部首は 网(あみがしら/あみめ/よこめ)。 別の形に 罒 があり、これもあみがしらです(「罪」「置」など)。むしろあ…

漢検一級勉強録 その62「鶸色」

鶸色(ひわいろ) ヒワの羽のような黄緑色。黄色の強い萌葱色。 上の画像のような色です。 鶸(ヒワ)は、アトリ科の小鳥の総称。 人家近くに群れをなしてすむ。カワラヒワ・マヒワ・ベニヒワなど。スズメよりやや小さい。木の実や種子などを食べる。 秋の季語。…

漢検一級勉強録 その61「醂す」

醂す(さわす) ①焼酎などにつけてカキの渋をぬく。あわす。 ②水につけてさらす。 ③黒い漆を、光沢の出ない程度に薄く塗る。 ①は秋の季語。 「醂」 ①さわす。カキの渋をぬく。さわしがき。 ②調理用の酒の一種「味醂」に用いられる字。

漢検一級勉強録 その60「徼める」

徼める(もとめる) めったに実現できないようなことを願う。待ちうけてねらう。 「徼幸」(きょうこう/ぎょうこう) まぐれ当たりの幸福を求めること。また、その幸福。 「徼」 ①めぐる。みまわる。 ②さかい。国ざかい。 ③もとめる。 ④さえぎる。

漢検一級勉強録 その59「喞つ」

喞つ(かこつ) ぐちを言ってなげく。 「喞」 ①なく。すだく。虫が集まって鳴く。 ②かこつ。不平を言ってなげく。 ③そそぐ。水をそそぐ。 喞喞(しょくしょく) ①機を織る小さい音。 ②虫・小鳥・ネズミが小さく鳴くさま。 ③嘆息の声。 喞筒(ポンプ/しょくとう・そ…

漢検一級勉強録 その58「贐」

贐(はなむけ) 旅立つ人に、別れを惜しみ、また、はげますために金品などを贈ること。また、その金品など。餞別。 昔、旅立つ人の乗るウマの鼻を目的地の方向へ向けて見送ったことが由来。 「贐」 訓読みに はなむけ・おくりもの 音読みに ジン・シン 熟語に「贐送…

漢検一級勉強録 その57「稼穡」

稼穡(かしょく) 穀物の植えつけと刈り取り。農業。 類義語に「耕作」「農作」「農事」。 「稼ぐ」の「稼」、 穀物を植える の意味もあったとは知りませんでした。 昔は農業で生計を立てる人口がはるかに多かったでしょうから、稼ぎ=農作 の認識だったのかもしれません…

漢検一級勉強録 その56「醵金」

醵金(きょきん) なんらかの目的で必要な金銭を出し合うこと。また、その金銭。 「拠金」とも書く。 「醵」つのる。あつめる。金品を出し合う。 記載熟語はほかに「醵出」(きょしゅつ)。なんらかの事業、また寄付などに金品を出し合うことで、「拠出」とも書く。 では…

漢検一級勉強録 その55「枳棘」

枳棘(ききょく) ①とげのあるカラタチといばら。 ②悪者・じゃまもののたとえ。 「枳棘は鸞鳳(らんぽう)の棲む所に非ず」 りっぱな人は自分の居場所を選ぶたとえ。 また、すぐれた人は低い地位に甘んじるべきではないことのたとえ。 とげのある枳棘の中には、鸞…

漢検一級勉強録 その54「甄別」

甄別(けんべつ) はっきりと区別すること。はっきりと見分けること。 「甄」①すえ。やきもの。また、つくる。 ②明らかにする。みわける。調べる。 ここでは②の意味で、「甄ける(みわける)」と訓読みすることができます。

漢検一級勉強録 その53「輦轂」

輦轂(れんこく) ①輦(てぐるま)のこしき。 ②天子の車。天皇の乗り物。 ②のとき、「輦轂の下(もと)」で 首都(天下のおひざもと) のことを言う使われ方があります。 「輦」(てぐるま) 輿に車をつけ、轅(ながえ)に手を添えて引く車。天子の車。天皇や皇族の乗り物。 …

漢検一級勉強録 その52「訐く」

訐く(あばく) 人の秘密をさぐり出し、本人にむかって言う。 「詆訐」(ていけつ)で、欠点を暴き出すことを言います。 「詆」「訐」ともに、ここでは あばく の意です。 「訐」の音読みが ケツ なのは気をつけなければいけないと感じました。

漢検一級勉強録 その51「疆り」

疆り(かぎり) さかい。かぎり。 「境」の書きかえ字です。 あまり解説することがないので 似ている別字についても触れておきます。 「疆」から土を取ると「彊」という字になり、これらは全くの別字です。 「彊」①つよい。 ②つとめる。はげむ。 ①のときは「強」の書きか…

漢検一級勉強録 その50「霾る」

霾る(つちふる) 黄砂が降る。 「土降る」とも書く。 黄砂は中国大陸の黄土地帯から吹きあげられた砂のことです。 春の季語なんですね、「霾る」。 「黄砂が降る」よりも知的な言い方でかっこいいと思います。霾る。 「霾」①つちふる。 ②つちぐもり。巻きあげられた土…

漢検一級勉強録 その49「戍る」

戍る(まもる) 武器を持って国境をまもる。 「衛戍」(えいじゅ) 軍隊が長い間同じ地にとどまって警備にあたること。 「守る」は具体的事物から観念的なものにまで広く用いられると言えそうです。 家族を守る から 約束を守る まで。 対して「戍る」は武力でもって国…

漢検一級勉強録 その48「蟪蛄」

蟪蛄(けいこ)は春秋を知らず 人生のはかないこと、命の短いことのたとえ。 また、見識や経験の浅いたとえ。 「蟪蛄」はニイニイゼミで、夏ゼミの一種。 夏期の短い間しか生きていないため春秋を知らないことからこの諺だそうです。 切ないな.......。 「蟪」 蟪…

漢検一級勉強録 その47「苞苴」

苞苴(ほうしょ) ①食品を、わらなどを束ねて包んだもの。 つと。あらまき。 ②わいろ。まいない。 ①の意味の場合、 つと ・ あらまき とも読みます。 ②わいろ の意味を示すのは ほうしょ と読むときだけです。 藁で包まれている納豆がありますが、あれを「苞苴…

漢検一級勉強録 その46「梟雄」

梟雄(きょうゆう) 勇ましく強いが、残忍な人物。 「梟」、フクロウですが、 つよい(強) や さらす(晒) の意味もあります。 フクロウは肉食ですから、強いというイメージも持てないことはない。 ちなみに「梟し首」と書いて さらしくび と読めます。 「梟」、なかな…

漢検一級勉強録 その45「楮幣」

楮幣(ちょへい) 紙幣。おさつ。 類義語に「楮鈔」。 「楮」①こうぞ。クワ科の落葉低木。 ②かみ(紙)。手紙。また、さつ(札)。紙幣。 こうぞは公的文書に使われる紙の原料となる木だそうです。 ただ、紙幣の材料というわけではないようです。 調べたところ紙幣に使…

漢検一級勉強録 その44「鶩列」

鶩列(ぼくれつ) あひるのように並ぶ。朝廷の百官の列。 画像は字面通りアヒルが列をなしていますが、朝廷の役人達の列をたとえた言葉なんですね。 「鶩列」の解説は漢検漢字辞典には載っておらず、新字源にはありました。 困ったときは新字源が頼りになります…

漢検一級勉強録 その43「贏輸」

贏輸(えいしゅ・えいゆ) 勝ちと負け。 類義語に「勝負」「勝敗」。 「贏」①あまる。 ②もうける。 ③かつ。 ④のびる。 ⑤つつむ。 ⑥になう。 ここでは③の意味。 「贏」は「財貨がありあまり利益が生じた状態」、つまり儲けたり賭事に勝ったりする状態を表す字でしょう。 …

漢検一級勉強録 その42「纔か」

纔か(わずか) かろうじて。やっとのことで。ようやく。 例文 「水害で、この地区だけが纔かに難を逃れた」 「纔」 わずか。わずかに。すこし。やっと。 音読み サイ 訓読み わず(か)、わず(かに) 「わずか」は 少し という意味程度しか分かっていませんでした。か…

漢検一級勉強録 その41「憖」

憖(なまじ) ①中途半端なさま。 ②できもしないのに。無理に。なまじっか。 「生強い(なまじい)」を漢字一字で表すとこうなるとのこと。 他訓読み、 「憖(し)いる」、「憖(なまじい)に」。 意味に違いはありません。 音読みだと ギン と読むようですが、熟語の用例の…

漢検一級勉強録 その40「稱譽」

稱譽/称誉(しょうよ) ①ほめたたえること。 ≒称美・称揚 ②名誉。ほまれ。 稱 が 称 の旧字体とはなかなか想像つきませんでした。 「稱」(画像は異体字) 称 の旧字体。 となえる・たたえる・あげる・かなう・はかる 「譽」 誉 の旧字体。 ほまれ・ほめる

漢検一級勉強録 その39「壘壁」

壘壁/塁壁(るいへき) とりでの壁。また、城のかこい。 類義語に「城壁」。 「壘」 塁 の旧字体。 ①とりで。土をかさねて築いた小城。 ②るい。野球のベース。 ③かさねる。かさなる。 ③の意味は「累」に通じます。 ③かさなる から ①とりで の意味も連想しやすくなり…

漢検一級勉強録 その38「懷爐」

懷爐/懐炉(かいろ) 衣類の内側に入れて、体を温める器具。 恥ずかしながら「懐炉」と書くことすら知りませんでしたが、字面を見れば納得です。 ちなみにカイロは冬の季語でもあります。 「懷」 懐 の旧字体。ふところ。 「爐」 炉 の旧字体。いろり。ひばち。

漢検一級勉強録 その37「遞信」

遞信(ていしん) 郵便や電信などを、順次取りついで伝えること。 聞いたことない言葉でしたが、かつて日本で遞信省という中央官庁が存在していたらしいです。 「遞」は「逓」の旧字体です。 ①次々と伝え送る ②しだいに ③かわる ④たがいに の意味があります。「遞信…

漢検一級勉強録 その36「交驩」

交驩(こうかん) 互いにうちとけて楽しむこと。 「交歓」の書き換え字です。 「驩」 よろこぶ。 掲載の熟語は「交驩」 「驩然」 「欣驩」。 ちなみに似た字に「讙」があり、これも「よろこぶ」の意味・読みのほか、「かまびすしい」の意味・読みも持ちます。